今日は、社会の用語の効率的な覚え方についてお話ししたいと思います。
漢字の意味を覚えれば一石二鳥
家庭教師で初めて伺った生徒さんでよく見るのは、これまで社会の用語は「音」で覚えてきたパターンです。
つまり、ひらがなで覚えてきたのです。例えば歴史でいうと「こんでんえいねんしざいのほう」のような覚え方をしているので意味がよく分からず、テストの時どの問題の答えとしてこれを書けば良いのかさっぱり分からずやる気までなくしてしまっている状態です。
そんな方にオススメなのが「音」ではなく「意味」で用語を覚えることです。
なぜ一石二鳥なのかというと、
①社会の用語がより正解にそして長期で覚えられる
②意味がよく分からない漢字も調べれば国語の勉強にもなる
というメリットがあるからです。
いくつか例を挙げて考えてみましょう。
意味で覚えるとよい社会の用語の例
班田収授法と墾田永年私財法
難しい用語が2つ出てきましたね。
全て奈良時代前後の用語ですが、この用語の違いが分からない生徒さんを時々見かけます。ではこれらの用語の漢字の意味を考えてみましょう。
班田収授法…「班」とは、学校の給食の班のように、分けられたものを表します。「収」とは回収、収入のように入ってくるもの、「授」とは表彰状授与などで使われるので何かを与えるという意味があります。
それで班田収授法とは、分けられた田んぼ(班田)を取り上げたり(収)与えたり(授)する法律のことです。
実際、当時は6歳以上の人に田んぼが与えられ、死んだら回収していました。(ただし土地をもらえてラッキー!ではなく、重〜い税を払う必要がありました。)
だけど土地が足りなくなったり、そもそも耕すことをすっぽかす人が増えたりして国は「ヤバッ!」となりました。
それでできたのが、墾田永年私財法です。
漢字の意味を考えてみましょう。
「墾」とは開墾という言葉で使われます。開墾とは荒れ地を頑張って耕して畑などにすることです。この言葉自体も覚えておくといいですよ。「永年」とはずーっとという意味です。「財」は財産のことですね。
つまり墾田永年私財法とは、自分で開墾した田んぼは(墾田)、死んだら返さなくてもいいしずーっと(永年)自分の(私)財産(財)にしてもいいですよという法律です。
この法律の方が班田収授法の時よりもずっとやる気が出ますよね。返さなくてもいいならどんどん荒れ地を自分の土地にして増やそう!という動きが広まり、「荘園」が増えたんですね。
明治時代の出てくる用語
家庭教師をしていると、「戦国時代付近はまだ分かるけど、明治時代より後が苦手」という声をよく聞きます。明治時代以降は難しい用語が多いですよね。
歴史はストーリーで覚えるのが一番ですが、今日は漢字の意味で覚えるという観点だけで明治維新の大事な幾つかの用語だけ取り上げて解説します。
・版籍奉還・・・「版」とは版図(はんと)で領地という意味です。例えば版図を拡大するという風に使います。「籍」は戸籍で人を表します。それを「奉還」する、返すことなので、土地と人民を政府に返すことを表します。
・廃藩置県・・・江戸時代の「藩」を「廃」止、つまりやめて、「県」を「置」くことです。
・富国強兵・・・日本は開国していかに外国より自分たちが遅れているか痛感しました。それで、外国にも負けないよう「富」(と)んだ(富豪とかで使う漢字ですね)「国」を目指し、「強」い「兵」隊で外国に負けないよう頑張りました。この目標を富国強兵と言います。
・地租改正・・・富国強兵で主に富んだ国にすること(富国)と関係がありますが、国がもっと金持ちになるために、土「地」の「租」税(この租税という言葉は公民でも出てきます。)を「改正」しました(良いものに変えたという意味)。これを地租改正と言います。
・殖産興業・・・「殖」は繁殖(はんしょく)で使われますね。増えるという意味です。「興」は訓読みでおこすと読みます。新しいことを始めるという意味です。
それで殖産興業とは、生産を殖やすために新たな産業をどんどん始めようという動きのことです。
余裕を持って勉強しよう
以上、漢字の意味で覚える社会の用語例でした。
もちろん地理、公民でもこの方法は効果的です。ただ難点として、この方法は時間がかかります。そして時に教えてくれる人が必要になります。
それで受験勉強の時にまとめて覚えるとというより、普段の学習でコツコツ積み重ねていくのに向いている方法です。学校の授業を聞いている最中など、少しの時間で良いので漢字の意味を考えてみてくださいね。
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